「椎名純子、どうするつもり」
「どうしようかな」
「なにそれ」
自嘲気味に笑いながらそう言う千秋に、尚は呆れ気味に返した。
「きっと何も出来ないし」
呟く様に言う。
千秋の言葉が、生暖かい風と共に開いた窓からサワリと吹き込む。
「あの時、ヒサと真知の後を追ったのが、きっと自然と出した俺の答え」
「ふうん。恨まれるだろうね、純子のプライドを公衆の面前でズタズタにしたんだから」
尚が言えば、千秋は「嫌な事言うなよ」と困ったような声を出した。
「羨ましいよ、ヒサ」
「なにが」
「真知となら、きっと楽しいだろ」
あたしは目をそっと開けて、二人の後ろ姿を見る。
千秋は尚を見ないで、普段よりもずっと近くにある夜空を見上げている。
尚の声音からでは、やっぱり感情まで読めない。