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「……ん……」


ふと目を覚ませば、あたしには薄いブランケットがかけられていた。
部屋には夜光灯が灯されていて、どうやら夜も深まった頃らしい。そのままの状態で辺りを見渡すと、潰された缶と食い散らかされたお菓子。

あ、そうか。ここ、尚の家だ。

ズキッ鈍く痛む頭を押さえながら思い出す。
千秋がやっと吐き出せた本音。あの後、あたし達は飲んで飲んで飲みまくった。
ワインも焼酎も、3人でボトルを全て空け切ったのだ。くだらない事を言いあって、しょうもない話で笑って(これは主にあたしと千秋)、とにかく馬鹿みたいに騒いで。

千秋の心に傷を残した出来事。

傷跡を消す事なんて、そんなことはあたし達に出来ないけれど。
せめて少しでも痛みが和らいでくれればいい。

あたしも、それにきっと、尚だって。そう願ったに違いない。

―それにしても、ふたりしてどこに行ったんだろう。