その言葉は唐突だった。
「裏切らないよ」
「はは……、何言って……」
尚は、抑揚なく言った。言われた言葉に千秋は少し動揺しながらそれを隠すように小さく笑う。
「別に信じなくてもいいけど」
「……ヒサ」
「嘘も吐くし、欺くけど。それでも俺は千秋を裏切らない」
厳しくて、優しい。
千秋はその薄茶の瞳を大きく見開いて、何か話そうと口を開いたけど、それでも言葉は形にならないようだった。
ふ、と千秋は頭を下げる。
肩が小さく震えるのを見て、ああ……、泣いてるんだと気づいた。
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