「ほんと、俺、多分一生ヒサには敵わないなあ」
「何を今更、当然なことを」
「ごめん、ありがと」
「聞き飽きた」
そっけない尚の言葉に、千秋は小さく笑う。
「うん」
「俺は、千秋のそういう所が理解出来ない」
「……うん、ごめん」
「だからもう」
「ごめんな」
ごめんとありがとうを繰り返す千秋に、尚は困った様に眉を寄せた。
尚をここまで振り回すなんて、ある意味千秋にしか出来ないことだ。
「真知も、ごめん」
「尚に同意。もう千秋のごめんは聞き飽きたよ」
「あはは、そうだよな。俺何回言ってんだろ。カウントとられたら凄い数になってそう」
笑いながらビールを煽る千秋。
なんで、笑えるんだろう。
「だって……、俺。ほんと謝っても謝りきれないんだ」
「千秋」
「真知が散々俺の事心配してくれたのに、ちっとも信じないで酷いこと言っちゃうくせにさ。純子を選んで結局彼女のことも傷つけちゃうし」
言葉が零れ落ちる。
あたしは……、それを拾う術を知らない。