「こんな朝っぱらから呼び出すなんて、何」
尚はこんな状況でも、やっぱり偉そうだ。すっかり千秋に対しての演技も解けている。
「……ごめん」
ああ、おばさんの言うとおりだと思った。本当に落ち込んでる。
シュンと項垂れている千秋を慰めるのは、いつもあたしの役目だったのに。今はそれが出来ないことがこんなにも歯痒い。
「千秋がそこまで落ち込んでる理由、真知?」
長い沈黙を破ったのは、尚だった。
そこで自分の名前が出されたことにドキリとする。
「俺、ヒサに言ったよな」
「うん」
「あんな風に、人を傷つける真知なんて、嫌いだ、って」
「言ったね」
嫌い、かあ。
2回目とはいえ何度聞いてもこの言葉はあたしの胸に刺さる。
「……でも」
千秋が、言葉を続けた。