茶の混じった黒髪は
遠くから見てもサラふわ。
白い肌に黒の執事服はよく似合う。
細身だけど、ガリガリではなくて。
こんなにカッコイイ人が
この世にいるんだろうか。
初めて彼を見たときはそう思ったなあ…
まあ、こうして見てるだけだし
あんな豪邸の執事さんなんて
普通の女子高生の私にとっては
雲の上の上の上の人。
でも…、でもなあ…
「話してみたいなあ…」
叶わないとは思っていても、
つい口からこぼれた。
自分の染めた茶髪が風でふわりと揺れた。
「風つめたっ!もう帰るかー」
もちろん独り言…。
なんだか空も暗くなり始めたし、
あたしは小走りに公園を出た。