すると、どこからともなく
焼き菓子のいい香りが。

尿意も忘れ、犬なみに嗅覚を発動する。


うおおおおおおお唸れ!己の鼻!!


鼻だけに神経を集中させ、足を動かす。


そして、曲がり角を何回曲ったか…

しばらく歩いたのちに今度は、耳が大活躍。


「…から、それより…」


この声は!
この低すぎず高すぎず、
色気があるけど下品じゃないこの声は!都夜さん!?

辺りを首がもげるくらい見渡す。


そして、声が聞こえると思わしき部屋を見つけた!

その部屋の扉は半開きになっていて、
ドアには『kitchen4』のプレート。

この家はキッチンが4個もあるのか、ちくしょう。


焼き菓子のにおいもどうやらここだし!

トイレの場所を聞こう!とウキウキながら
ドアに向かって、足を一歩踏み出せば―――


「っとにウゼェ。なんで俺があんなガキのお菓子を…」



・・・・・・・・ん?