…オオジリ、?
「聞いたことある名前だなあ…っておっと!」
心の中でつぶやいたはずが、
無意識に口から出ていたようで慌てて口を押さえた。
そんな私をみて、ふふっと月乃さんは微笑む。
ちくしょう、かわいいな
「気にしないでください。」
月乃さんは何も言わなかったが、
やっぱり聞き覚えのある単語だ。
腕を組み、右手を顎にあて記憶を探る。
私、気になったらずっと
引きずっちゃうタイプなんだよねえ…。
「それより、雫様。お時間は御座いますか。」
「はい!ございます!!」
前言撤回。
月乃さんの名字の行方は都夜さんの
一言で私の脳内から消え去った。