私は恐る恐る慧斗を見上げて、
口を開く。


「慧斗、約束の時間って、11:50よね?」

「あぁ。」

「約束の時間って、
“午前”11:50よね?」


私がそう聞くと、
慧斗が全てを把握したように苦笑いした。

まさか……、


「生憎、“午後”だ。」


……最悪。


私は遠慮がちに慧斗を見上げて、
小さい声で、


「ごめんなさい。」


慧斗に謝った。


「いや、俺も“11:50”としか言ってなかったし……。」