私は枕に伏せていた顔を上げ、
声のしたほうを振り返った。

そこには……、


「……慧斗。」


バイトから直行で来たのか、
スーツ姿の彼氏が立っていた。


「で、誰がばかだって?」


じりじりと近づく慧斗。
いつもだったら、ここで私が食い下がる。

だけど……、


「慧斗のことよ、ばか慧斗!!」


今日はいつもと状況が違う。

私は思いっきり慧斗を睨み付けた。

慧斗は一瞬驚いた顔をしたあと、
心配そうな顔をして、
私の頬に触れた。