バタン……。


私は目の前の教会を見上げた。


「ねぇ、真っ暗だよ?」


やってないんじゃ……。


「大丈夫だから。」


私は不安そうに慧斗を見た。

慧斗は時計を確認する。


「よしっ、中入るぞ。」

「ぇ、ちょっ、」


慧斗は躊躇いもなくギィッと教会のドアを開けて、私の腕を引いて、真っ暗な教会の中に入っていく。


突然、慧斗が立ち止まった。


「……慧斗?」

「愛実。」

「ん?」