名月先生を見ていられなくて、さりげなく目をそらしたのとほぼ同じタイミングで、名月先生の視線が私の顔からそれたのが視界の端で見えた。
ほっとしたような、寂しいような気持ちを抱きながら視線を前に戻すと、手にヒンヤリとしたものが触れた。
「っひゃ!」
「あ、ごめんね、冷たかった?」
よく見るとそれは名月先生の手で、名月先生は私の手を私の顔に当てている氷のところまで持っていき、私の手に氷を握らせると手を離した。
…ごつごつしていて骨っぽい、男の人の手だった。
不意打ちすぎて、変な声が出ちゃったじゃないか。