名月先生に、『女の子だから』と言われたのが嬉しかった。
名月先生は特に何も考えず、そう言ったのかもしれないけれど。
しかも、さりげなく私の名前を呼んだ。
なんで知ってるんだろう、と疑問に思いながら私は名月先生を見つめた。
「…? 『ウノミサキ』じゃないのかな?友達に『美咲』って呼ばれてたよね」
「…、たしかに私は『宇野美咲』ですけど…」
「あ、苗字は、ジャージに刺繍されてるから、ね。 残念ながら、全校生徒の名前はまだ覚えていないんだ、僕。」
「…まだ1週間しか経ってないのに、覚えてたらすごいですよ」
「……それもそうですね」