「ぶはっ」 私の言葉を聞いた瞬間、名月先生が吹き出した。 その声にびっくりして、そらした視線を名月先生に向けると、名月先生は笑いながらマグカップを流しに置いて、私の方に近寄ってきた。 一歩距離が縮まる度に、心臓がどくん、とはねる。 ふわ、っと名月先生の匂いがわかるほどまで名月先生が近くに立った。 保健室独特の匂いと、名月先生の香水の匂いと、おそらく先程まで名月先生が口にしていたであろうコーヒーの香りが鼻を刺激する。