「そうそう、あの本なんですけれど、前言ったじゃないですか…真っ白で何も書いてないって、」


「どした?」

今は、とアイリスはそう言って、空気中から赤茶色の本をだす。


「何だこれ?」

ミミズがのたくったような字がびっしりと書いてある。

「すごい昔の字ですの。私も知らないくらい、昔の」