私は落ち着きを保ちながら、また椅子に座る。

「まー、いい。…この問題だけど、ここに三平方の定理でθを…」


問題集なんて頭に入るわけがない。
目の前の和泉の髪がふわり、ふわりと揺れる。

柔らかそう。


「…で、こうなる、…っておーい?」

私は思わず手を伸ばして、むぎゅむぎゅと触っていた手を引っ込める。


「あ、ごめん」

「お前は何故、ひとつのことに集中できねぇんだよ?ただでさえ、鳥頭だってのに…。」


「ふわふわなんだね」