その後について、少し言うとしよう、私たちは穏やかな日常を過ごした。
“化ケ物”だとか“魔法”なんて関係のない。

だから、図書委員の夜の見回りも無しになった。
そもそもの元凶がなくなったのだから。


「いやぁ、ふっつーの図書館業務ってシンプルだよねー、まぁ命の危険性ないからいいけどぉー…あ、咲ちゃん、問2違う。」

そんな事をいうのは、千亜だ。相変わらずあけすけな事を言う。

「うそ、…んー…アイリスも居なくなっちゃったし、寂しくなったよねー」


問題集の文字を追いかけながら、私は千亜に返事をする。羽津の存在は私とハル以外憶えていなかった。
静かに消えてしまった。
消えるのまで自由気ままなのか、と私は深くため息をつく。


「千亜、委員おわる?」
「健くん、えっとねー、」

そう聞きに来たのは、笹木。制服のズボンは下げぎみなのに、なぜこうも爽やかなのか。千亜は私をちらり、と横目で見る。
私は、右手で追い払う動作をする。仲の良いことで。

「もう終わったから大丈夫みたい、じゃあねー」


手を降って図書館を出ていくふたり。