「ごめんねー、来たのが委員長じゃなくて」


軽やかな声、人より低めの体温を感じさせる、切れ長の目が優しく笑う。

羽津、

「いや、なんでだよ!!」
普通、そこで来るのは、ハルだろう、と思いツッこむ。

「まぁまぁ、迎えぐらい良いじゃない…責任持って送らせていただきます、ね?」


いつもより、饒舌な羽津、に違和感を覚える。
「あ」
羽津が声を出す、その瞬間最後のひと欠片が落ちるような音がしたかと思うと、真っ暗になる。


「…もー、この世界は終わったね」
「え、え、じゃ、帰れない?」


大丈夫、と言って羽津が手で、すっ、と暗闇を切るとそこから光が漏れだす。

「さ、入ろう?」
「大丈夫なのー?」
ははは、と笑ったあと、羽津がゆっくり言う。

「おれも最後ぐらい役に立つよ、大丈夫」


そう言って、隙間に押し入れようとした。

最後?

「羽津、」
「おれね、あっちの世界にはもう戻れないから…」


「え―…?」