消えた。
その一言を言って消えた。
精神世界の主がいなくなるってことは…私は意味もなく後ずさる。

「うわっ」

足の踏み場がなくなった。周りをみると白い空間を黒い何かが侵食していく。やだやだ、なにこれ。

精神世界の主いなくなるってことはつまり、その世界の崩壊を意味する。
「無責任すぎるでしょう!!…もう、やだ…」

がらがらと崩れる音がする。どこが地面か分からなくて、踏み込んだ瞬間、
真っ逆さまに落ちて行く。


どうしてこの言葉を思い出したかはわからない。
いつかの言葉が頭の中に響く。

『もしも、暗闇に迷い込んだら、大切な人の名前を呼ぶんだ』

「ハルーっ!!」
目一杯息を吸い込んで彼の名を呼ぶ。
ふわり、と私の手を掴んだのは、