「アイリスが自分で発動できる唯一の魔法なんだよ。それ以外は発動条件が決まってるんだよ」


「自由じゃないんだね?」

私の言葉に和泉は大きく頷いた。


「何事も、図書館―サリサの意思に基づくからな」



また、サリサ?
私がそう思っていると、先回りしてアイリスが答えてくれる。





「…サリサというのは、この世で最も神に近い存在ですの。そして、彼女の魂の半分は図書館に、もう半分はこの“本”に在るんですの」




アイリスの手から浮かび上がるように立体になり、それは徐々に“本”の形を形成していく。