「ちょっと、提案しようかと」
「何がですの?」

首を傾げながら、ね?と笑う。

「賭け、かな、ある意味。彼女、助けたいよね?」

彼女、というのは咲のことだろう。真意がわからず、多季の言葉に頷く。


「じゃあ、僕たち二人の力でサリサの願いを叶えてあげよう?」
「どういうこと?」

「僕らは魔質持ちだよ。力と命どちらもあてがったらサリサを還すことなんて雑作もないよ」



にこり、と笑う多季。
力と命。
つまりそれは咲の代わりに二人で死ぬということ。

「あの時、とってくれなかった僕の手をとってほしいんだ」

意地の悪い微笑みを洩らしながら、アイリスの目の前に手を差し出す。

そんなの、決まってるじゃない。

アイリスはゆっくり手を伸ばした。


――…
―…
―…