ー…

「落ち着きました?」


奥の部屋にあるポットと茶葉で淹れた紅茶をアイリスは私の前に置いて聞いてくる。外は雨が降りだしたようで、音が微かにした。

「うん、…ありがとね。」

「いえ、…それにしても、王子が咲音にあんなことするなんて。」


くすくす笑うアイリス。

「ちが、あのキスは人工呼吸的なね!?別に深い意味は無くてね!?」

「別にいいんですのよ、…ただ、ベタベタするなら余所でやれよ、バカップル…てすこしばかり感じまして、す、こ、し、ばかりですけど、」


うわーい…
ごめんなさーい。

私は黙って紅茶を啜った。


「王子の状態ですけれど、大事には至らないと思います。…もちろん、決して良くはありませんけど 」


「本当…!!…よかった…」

私は、ほっとため息を吐き出した。


最初は全然要らない存在だったのに、いつの間にか居なくなったら耐えられない人になってしまった。

和泉に対する想いは、変わってしまったからー…。