「…なにすんの、よ。ばか」

「…落ち着いた?」


つらそうなのは依然として変わらないが、柔らかく私に笑いかけた。

「さ、俺は大丈夫だから、アイリスといて?」


私の背中をぽんと押した。腕を引かれながらアイリスについていった。


―…

咲がアイリスと行くのを確認すると、羽津が口を開いた。


「なんつーか、変わりましたね…、むしろそっちが素?」

いつもより目を開いて、驚いたように言う。俺は決まり悪く思いながら、べつに、とそっぽを向いた。

咲といると、いつものように繕えない。
どんなに厚く塗り施しても、ぱらぱら簡単に剥げてしまう。

「早く直せよ」

「わかってるって、"cure"」


羽津がそう唱えると、淡い緑の光を放ちながら、俺の怪我に手をかざす。暖かくて、優しい穏やかな光が本来の自然治癒力を上げるらしい。

その光を見ながら、ぼんやりしていた。