克己の部屋は、火事のあった部屋の真下に位置していた。
炯斗が部屋のドアを開けた瞬間、カッと白い光に包まれた。
「!?」
反射的に目を瞑る。
光がおさまって、炯斗はおそるおそる目を開いた。
………誰、だ……?
部屋にぼんやりと人影が一つ。
しかし、炯斗が一歩足を踏み入れると、スッと消えてしまった。
??
「なんだったんだ……?」
「誰かいる気配がしましたね」
「やっぱり? ことのんも、あの光見えた?」
すると言乃はきょとんと首を傾げた。
「光? いえ…霊か人かどちらかの気配しかしませんでしたよ?」
「あ、あれ? 俺の見間違い?」
「……さぁ?」
ますますわかんねぇ…
「……ねぇ、二人とも部屋に入らないの?」
高橋の不思議そうな声に、ドアをふさいでいることに気付き、慌てて中に入る。
ベッドの傍らに、大きめのスーツケースが口を豪快に開いて置いてあった。
炯斗はまず、バルコニーに出て上を見上げた。
「外壁は焦げてるけど、大したことないんだな」
「そうだね。あ、足元気を付けて。ガラスの破片があるから」
「マジで?」
驚いてその場から飛び退くと、細かいガラス片がパラパラと落ちている。
手袋を切らないように注意しながら炯斗は欠片を拾い上げた。