高橋は悲しく笑う。
炯斗は、なんとも言うことが出来ずに顔を背けた。

と、その視線の先にペロリと何かが剥がれ落ちた。

「ん? なんだこれ」

「なに何? 何か見つけた?」

それを拾い上げてみると、近くの壁に先がくっついている。

うりゃっと強く引けば、意に反してベリッと音をたて簡単に剥がれた。

「……なんだこれ?」

「さぁ? でも壁にくっついてたみたい。ここだけきれいに煤が取れてるよ」

どれどれ…と高橋の背中越しに覗くと、彼の言う通りとれた燃えかすの形にきれいに裏が見えていた。

それでも、焼け焦げていることには変わりがない。

が、しかし――

「ん? なんか…擦ると……」

高橋が壁を手袋でごしごし擦ると、模様が見えてきた。

ん?

炯斗は眉を寄せる。

これ…どっかで……?

炯斗の中で何かが見えかけたと同じくして、隣で言乃が声を上げた。

「あ! これ、部屋の壁紙の模様と同じですよ!」

「あ……ああ! 部屋のだ! うん!」