炯斗が聞くと、すこし元気を取り戻したよう顔を上げる。

「昨日、炯斗に言われたおじいちゃんのことも聞けてないし、それに私たちも分担したほうが……」

本当は、幽霊関係のことに何も役に立てない負い目があるから。
そこに私がいても、ただ感心してみてるだけしか出来ない。
それならいなくても、変わらない。

でも、そんなことを言えば二人は絶対に気を遣う。

だから私はこっちで。

すると、恵のすぐ隣にいた女性の刑事が肩を叩いて聞いてきた。

「一緒に来る?」

「は、はい!」

恵はぱっと顔を上げて大きく頷いた。
同性だからか、すぐに打ち解けた二人を見て高橋はほっとした。

これで、舘見さんは大丈夫そうだ。

「よし、じゃあ解散!!」

「「はい!!」」



「さて、僕たちは何処からにする?」

皆それぞれの持ち場に踏み出したところで、二人を振り返る。
言乃は、炯斗に任せると彼を窺うように見上げた。
炯斗はちょっと意識を高めて、見回す。


見つけた。
例の銀色に伸びる光の筋。


「上……克己さんの部屋か?」

「まぁ、現場だし、行きたいよね」

歩き出した高橋に続く二人。

「でも、鹿沢の部屋といって……どっちにする?」

「はい?」

「鹿沢の部屋はね、事実上二つあるんだ」

「二部屋借りてたってことか?」

階段を上りながら、高橋は首を横に振る。
ますますわからない。
言乃と炯斗は顔を見合わせた。