「今の先輩はただの非番の一刑事に過ぎません。おまけに管轄外。つまり……僕らの捜査に口出しを出来ない、一般人と同じ。日奈山くんと変わらないんですよ」
「!!」
朋恵はふらりと一歩後退って高橋を穴の開く程見つめた。
だが、それをはね除けるように踵を返す高橋。
「無論、彼らに何かあっても先輩には危害を及ばないようにしますよ」
そして、行こう、と炯斗の腕を取り言乃と恵のところへ行った。
引っ張られながら炯斗がおそるおそる、空気の固い背中に声をかけた。
「お…おい」
「気にしないで。あれで落ち込むような人じゃないよ、きっと」
二人のところに着くと、打って変わって明るい笑顔を向けて高橋は言った。
「じゃあ、捜査には僕や誰か、捜査員が立ち会うことになるから。よろしく」
「はい」
「おう」
そして、炯斗は心からの意を込めて言った。
「………ありがと、高橋さん」
三人が頷くと高橋は満足そうに笑った。
「で、いきなり悪いけど高橋さん。ちょっと調べて欲しいことがあるんだ…」
「ん?」
炯斗は高橋にゴニョゴニョと耳打ちした。