そんな管理人を置いて朋恵と高橋はヒソヒソと二人で輪を抜ける。
「意外に多いわね」
「はい……ホシの絞り込みに何人か当たらせてみます」
「お願い」
朋恵が頷いて高橋が携帯を取ろうと目線を変えた時、炯斗がこちらを見つめていることに気付く。
怪訝に見つめると、視線に気付いたらしく炯斗の方から近付いた。
「な、なぁ!」
「なんだい?」
「ちょっと……話が…」
朋恵と高橋は見合せて首を傾げ、炯斗を見る。
炯斗は少し緊張したように頭をかきながら口を開いた。
「あの、よ……克己さんも、このヒモも…俺たちが見つけたんだ」
「そうだね、協力感謝してるよ」
明るく言う高橋と対象に朋恵は眉をひそめる。
「だからさ、俺たちにも調べさせてくれないか?」
やっぱり。
朋恵は内心で呟いた。
昨日のところは郁美の邪魔が入ってうやむやになったが、ちゃっかり聞き込みにもついてきたり、諦めてはなかったのだ。
もちろん、答えは決まったままだ。
「ダメ――」
「いいよ」