高橋が素早くメモを取り、質問を続けた。

「それはいつ頃のことです?」


しかし管理人は歯切れも悪く唸った。

「聞いたのは寝る直前だったんですわ……それがあんまりはっきりしないもんで……11時は回っていたとしか」

「なるほど、あなたの他にロープウェイの運行が出来る人はいますか?」

「私に、妻…それから管理用の鍵とマニュアルは村長と開発委員長が持ってます」

「開発委員長?」

オウム返しに聞くと管理人はコクリと頷く。

「はぁ、この島の開発計画を表だって進める方ですよ。そら、唯一の宿屋のオーナー」

「羽田氏、ですね」

高橋が先を取ると、管理人はそうだと手を叩いた。

「普段使うのは私くらいで使い方がわかってるかは知らんがな」

「十分です。ありがとうございました」

「いえいえ」

そう言いながら捜査に関与できたのが嬉しいのか、管理人は顔を輝かせて言った。