『事件を予期してたみたいってか』
「……」
『……』
「答えなさいよ」
『別に隠すつもりなんかないさ。ただ…買いかぶりすぎだ』
「はぁ?」
クク…と押し殺した声が聞こえてくる。
笑ってるんだ。
何なんだ、何だっての。
ウザいから勿体付けないで早く答えなさいよ──!!
『俺がまだお巡りさんやってた時代にな、友達になったんだよ。アイツと』
「はぁ!?」
『で、あれよあれよと言う間にあいつ国会議員とかなっちゃってさ』
……
力が抜けて座り込みそうになるのを郁美が慌てて支える。
『ここ最近になって島に一人で行くとか言い出すからよ。
元議員で今じゃ想像も出来ないが激しくやってた時期もあって、狙われたりしたら困るからお忍びで護衛代わりを送ったのよ』
もう言うまでもないが、確認に声を絞りだす。
「で、それが今回私で、その最悪の事態が起きたって訳ね」
『そう悲観的になるな』