愛美の部屋は五階建てマンションの三階。

外観は小綺麗な造りで、部屋は10畳ワンルーム。
若い女性一人なら十分な広さだ。


扉の鍵をあけ、中に入る。愛美は靴を履いて突っ立ったまま、数え始めた。

「1、2、3、4、5…」


プルルルルル

電話がなった。
「やっぱり…」

電話は非通知、一週間程前から、ずっと帰宅時に電話が鳴る。
しかも、今は電気を点けていない、部屋に入るのを見計らっているとしか思えないのだ。


プルルル…

電話が留守電に切り替わり、プツッという音で切れた。