そんなことを回想していると、もう駅に着いていた。
駅前には路上ライブを勝手に開催しちゃってる人達がたくさん居る。
多くは一般人のカラオケレベルだけど、たまに上手い人もいるんだよね。
私はその人達を軽く一瞥した後、改札へと足を向ける。
その時だった。
「なぁ、そこのオネーサン!! 聴いてってよ!」
何?と思って声の方を見ると、ギターを持った男の子。
その視線はバッチリ私にぶつかっている。
やば。
面倒臭い。
だけど目合っちゃったしなぁ。
私は仕方なくそのギターメンの前にしゃがみ、「何が唄えるの?」と聞いた。