もう日が落ちる。 片付け始める紫音くん。 私はまたその姿を眺めながら、ぼんやりとたたずむ。 「なぁ、凜!」 「んー?」 「俺、東京に出るんだ!」 まるで、旅行に行くくらいのノリで、紫音くんは言った。 その意味を判断しきれないでいる私に、紫音くんは続ける。 「音楽プロダクションの人で、俺を気に入ってくれてる人が居るんだ。」 紫音くんは私の顔を見る。 優しい、目で。