微かに元気をなくしてしまった私を見て、紫音くんが明るい声で言う。
それは、驚くべき提案。
「一緒に歌おうか!」
「…へ?」
ぽかんとする私をよそに、紫音くんは鞄をあさりだす。
「いつも聴いてるから覚えたでしょ?…はい! 歌詞カード♪」
手渡されたソレは、表紙がボロボロになったノート。
その傷んだ表紙を開くと、私のお気に入りのあの曲の歌詞。
ボールペンで、走るように書かれている。
一緒にって……
音痴なわけじゃないけれど、紫音くんの声に混じったら明らかにノイズだ。
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