お喋り好きそうな紫音くんには悪いけど、私は世間話をしにわざわざ途中下車したんじゃない。


「ねぇ、昨日のやつ、歌って。」


紫音くんは、ニッコリと笑って見せる。


「いーよ♪」


そしてピックを弦にあて、また軽やかに弾いた。


ギターを奏でている時の、紫音くんの顔。

肌もスベスベで、整った顔立ちの彼の顔が優しさを帯びて……綺麗。


音に酔い、彼の顔に見とれるあたし。

夢の中に居るように、優しい温かな気持ちになれる。

恋する乙女みたいな表現になっちゃうけど、ここにはまるで私達二人しか居ないみたいだった。