子供のような無邪気さを帯びた彼の笑顔につられて、私も笑った。
そして私はこんなに心を震わせた音の主に聞く。
「ねぇ、あんた名前なんてゆうの?」
「俺? 姫島紫音くんでーす!!」
そう言って彼は握手を求めてきた。
私は半ば強制的に右手を握られながらも、構わずに続ける。
「シオン?」
「そう!可愛いでしょ?」
馬鹿じゃないの?と思ったけど、彼の笑顔には憎めない何かがあった。
「そっちは名前なんてゆうの!?」
「凜(リン)だよ。」
「え!リンダ!?」
違うよ、区切るとこ間違ってるよ。
「違うよ、凜。中条凜ってゆうの。」
紫音くんは、なるほど!といった感じに私を指さした。
「凜ね、よろしく!」
「よろしく。」
私は、絶対また聴きにこようって心に決めた。
これが私と紫音くんの出会いだった。