榊原さんは表情1つ変えず凄く落ち着いている。

「板倉さんの思いは受け入れないって事ですか?」

「せっかくだけど、パスさせてもらう。悪いけど、決めるのが億劫になっちゃてるし」

 榊原さんは何も言わず、美咲の方に顔を向けた。

 美咲は無言のままうなずく仕草を見せる。

 すると榊原さん、持参している業務用手提げバックを開けて中からA4サイズの茶封筒を取り出した。

「だったら、無理に今決めなくても宜しいですよ。ジックリと考える事をお勧めします」

「言われなくても、そうするよ」

 ではと言って、榊原さんは俺に封筒を差し出して言った。

「先ずはこの資料を御覧になってから、今後の事を決めて頂きたいですわ」

 封筒を受け取った俺。

「何コレ?」

「小出さんの事を、色々と調査してまとめたレポートですわ」