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「クラスどーなってるかなー」
「一緒だといーねー」
様々な明るい声が飛び交う。
そんな声も私には関係なく、ただただ目の前の桜が舞う大きな坂に、言葉を失うだけだった。
「何もかもやる気なくすって…」
はぁ、と大きなため息をついて、歩き出したとき、私の横をひとつの自転車が通って行った。
「あっ…」
『ねぇ、君がウワサの転校生?』
昨日の言葉がよみがえってくる。
自転車に乗って、坂を登っていくのは間違いなく
――――昨日のあの人だった。
「やっぱり同じ学校だったんだ…」
少し、緊張がとけたような気がした。
大きく、深呼吸をして、坂を上り始めた。