地図と見比べて、気を失いかける。

まさかあたし、毎日、この坂を登って登校しなきゃいけないの?

「最悪…」

手に持っていた地図を、クシャッと握りしめる。

終わった。私の中学校生活。あと、2年もあるのに…。

ため息をついて、もう1度坂を見上げたとき。

さぁーっと風が吹いて桜が舞った。

「ねぇ、君がウワサの転校生?」

後ろから、声をかけられた。

振り向くとそこには、黒髪の男の人が立っていた。

「そう…ですけど…何か?」

「いや…別に。」

笑ってそう言うと、男の人は坂を登っていった。

その人の後ろ姿を見ていると…

「パッパー」

と、クラクションが鳴り響いた。

「もう、見学は終わった?」

「うん」