「ぁ~…ぅ~~」

ハイハイで興味を惹かれたものに近づいて行く
その物の前で止まり、それをジーっと見つめる
そして、ついに手を包丁に向けて伸ばす

「ぅ~~!」

キラキラ光ってるのが気に入ったのだろう…手が刃に向かっている
勿論、暁は刃が切れることなど、全く知らない
顔はとても嬉しそうだ
しかし、包丁は暁が触れる前に暁の視界から消え去る

「??」

コテンと首を傾げ、キョロキョロと探すが見つからない

「暁、こないなとこで何やってんねん」
「ぅ~~ぁ!ぁぅ~~!」
「ほぉ~…ココで探検しとったんかぁ~?」
「ぁぅ!」
「そら楽しかったやろなぁ~、やけどココは大人が使うとこや
遊ぶ場所ちゃうねんで…ほら、ボール使こて向こうで遊ぼか~」

優希がボールを取り出すと、暁の目が輝く
遊んでもらえるのが嬉しいのか、それともボールが好きなのか…
多分、どちらもあるだろうし、もしかしたら違う理由かもしれないが、暁の興味は一気にボールに注がれる

「ほぃ」

ポンッと廊下の方にボールを投げると、暁はハイハイ(ハイスピード)でボールを追いかける
優希は暁がキッチンを出たのを確認し、右手で背後に隠していた包丁を元の場所に戻す

「…ったく、危機一髪やで…
6ヶ月は油断大敵の時期やからな~~
(ガシャーンっちゅー音したから、慌てて来てみればコレや…)」

そう呟きながら、鍋を片付けて行く
ちなみに、何故子ども園にいるはずの優希が家にいるかと言うと

「ゴホッ…ったく…病人動かすんやない」

風邪のため、子ども園を休んでいたのでした
それが幸いし、暁を危機から守れたわけだが…