「それじゃ、これに決まりだな
よし、じゃぁちょっとソフトも見ていくか
優希も好きなもの選んでいいぞ~」

それだけ言って、哲夫は嬉しそうにゲームソフトを見ている
どうやら、相当ゲームが好きなようだ

(まぁ、行動子どもみたいだし、別に不思議やないな)

想定内の哲夫の行動に、優希は今更思うことも無いようだ

「お父さん、そういえばゲームの本体ってどれくらいあるの?」
「ほとんど全部あるよ」
「マジで?!」

小声でコソコソ話す2人
優希はソフトを買うにあたって、どの機種があるか確認するべく尋ねたが、返答は驚くべきものだった
昔よりも格段に増えた、本体の数…それをほとんど持っているとは、驚く他無い
哲夫は、1つの機種を指さし「あれは無い」とだけ言った
それは、つい先日発売されたらしい最新機種だ
まだ、ゲームソフトも少なく、本体自体が高値なので買っていないのだろう

「…あれ?部屋にゲーム機見た事ないけど…?」
「あぁ、それはな…秘密の部屋があって、そこでやってるんだ…」
「……そりゃ見ないはずだ…」

優希は生まれて今日まで、この時代のゲーム機を見ていない
テレビのCMは食品、洋服、薬品、生活雑貨などの生活必需品に限られていて、娯楽関係のCMは流れていない
だから、ゲーム機の進化を知らずに3年間生きてきた
なのに、自宅にはゲーム機が一杯あると言う
ある場所は、秘密の部屋…優希は、すぐに分かった
以前見た、空間ネジリという機械があれば、たやすい事だ
そして、全ての部屋を見ていると言っても、1つだけしっかり見ていない部屋がある
そう、ほぼ物置化している部屋だ
危ないという理由で、美紗子に「入らないで」と言われていた部屋
大人な優希は、美紗子の言ったことを忠実に守っていたので、気付かなかった…というわけだ