~西暦3257年10月10日~

ある日の病院
この病院では、日々新たな命が生まれていた
今日も、一人の妊婦が出産し赤ちゃんと共に病室にいる
別段、おかしくも無い普通の風景
母親の幸せそうな顔…そして、やすらかに眠る赤ちゃん

(ん…?ココは…?)

やすらかに眠っていた赤ちゃんが、目を覚ました
目を開き、キョロキョロと周りを見回す

(…見えにくい…?)

病室の天井が、ぼやけて白しか認識できない
周りに柵らしきものが確認できるが、こちらもスッキリ見えない
赤ちゃんはキョロキョロ見回した後、コシコシと目をこする
そして、再び目を開き周りを見回す

「あら、起きたのね~」
(誰や?)

目を覚ました赤ちゃんに気付いた母親が声をかける
赤ちゃんは、言葉を返そうとするが声が出ない

(!?)
「お、目を覚ましたのか」
「えぇ、起きたみたい。ところで、この子の名前どうする?」
「そうだなぁ…」

驚いている赤ちゃんの中身…精神に気付かぬまま、両親と思われる2人が名前を思案する
その間、赤ちゃんは落ち着かない様子で2人を見ている

(…夫婦?!ちょっと待て!?もしかして…自分は赤ちゃんになってんの!?)

やっと自分の現状を把握し始めた、精神は大いに慌てていた
ついこの間、眠るように息を引き取ったことが思い出される
確かに記憶されている…それまで生きた120年ほどの記憶も

「優希(ゆうき)ちゃん…なんてどうかしら?」
「あぁ、良い名前じゃないか」
「それじゃ、貴方は今日から賀川優希よ」
(…ぇ、マジ?マジですか!?
人生、もう1度最初からやり直し!?!)

ニッコリ笑顔の母親に対し、優希と名付けられた赤ちゃんの精神は大きなショックを受けていた