「あ!そうだ…優希、自分の部屋欲しくないか?」
「ぇ…?」

急な哲哉の言葉に、ポカンとする優希
確かに、部屋をもらえるなら、欲しいが…3歳の自分にそう易々と部屋を与えて良いのか
精神がいくら大人でも、体は3歳の子どもなのだ

「そりゃ…貰えるんやったら、欲しいけど…」
「なら、少し待ってろ、すぐ用意してやる♪」

鼻歌交じりに、そう言い残し哲哉は美紗子と使っている部屋へと消えた
わけの分からない優希は、首をかしげる

(この家に余分な部屋は無いような…)

2LDKのマンションの一室
1つの部屋は、夫婦の寝室として使われている…今、哲哉が消えた部屋
もう1つの部屋は、軽く倉庫みたくなっている
今から、この部屋を片付ける…という事は無いだろう
片付ける量がハンパなく多いし、何よりそこにある荷物を置く場所が無い

「ん~~?」

頭を悩ませているところに、哲哉が何かハンドクリーナーのような機械を持ってやって来た

「…?お父さん、それは何??」

今から、部屋の掃除でもすると言うのだろうか…
でも、それは部屋を用意する…とは、関係無いのではないだろうか

「コレは、空間ネジリという機械でな」
「…は?空間ネジリ?」

聞いたことも無い機械の名前に、優希は頭の中では沢山の「?」が飛び交う
どう見ても、優希の目にはハンドクリーナーにしか見えない
この機械が、名前通りに空間をネジル…など考えられない