「今から話すことは、ホンマの話しや
信じられへんやろうけど…」

優希は、ゆっくり話し出した
両親はベッドに座り、間に優希を座らせた
こうすれば、どちらも同じように優希の話を聞き取ることが出来る

「自分は、前世の記憶を持ってんねん」
「「!?」」

思いがけない言葉に、両親は目を丸くした
それを横目で確認しながら、優希は話を続ける

「自分が生まれたんは、今から1120年前…」
「「1120年前!?!」」

思わぬ数字に2人揃って、驚きの声を上げる
1120年前など、大昔もいいところだ
歴史で習う時代の記憶があるという娘に、両親は目を合わせた

「自分は120年を生きて、今から1000年前にこの世を去った…つまり死んだんや
やけど、次に目を覚ましたら赤ちゃんになっとった」
「あの日…生まれた日の事ね」

第1子が生まれて喜んだ、あの日が思い出される
あの時から、既に目の前の娘は不思議一杯だったようだ
よくよく考えて見ると、夜泣きもせず、好き嫌いもしない本当に手のかからない赤ちゃんだった
周りの人からは、とても羨ましがられた事は記憶に新しい
前世の記憶がある…と言われれば、それら全てに納得できる
精神が大人なのだから、夜泣きも好き嫌いもしなかったのだ