「もしかして、言いにくいことなの?」

目線を優希に合わせ、かがむ
優希はどうして良いか分からず、俯くしか出来なかった

「…言いたくなければ、言わなくても良いのよ」
「!?!」

美紗子の言葉に、パッと顔を上げる優希
まさか、そんな言葉を言われるなんて思ってもいなかった
こんな不審だらけなのに、何も言わなくて良いとは、どういう事なのか
頭が混乱して、真っ白になって何も考えられなくなる

「だって、貴方は間違いなく私達の娘だもの
不思議な事がいっぱいあって、混乱したけれど…それは変わらないでしょう?」
「……」

確かに、今の優希は両親としっかり血がつながっている
間違いなく、2人の娘である
ただ、精神が前世の記憶を持っているというだけ…

「聞いたのは私だけど…無理して言わなくて良いのよ」
「…(言わなくて良い…それは確かに楽やけど、それでえぇんか?
こんだけ、自分の事を信頼してくれてる人に隠し続けてえぇんやろか…)」
「そうだな、気になるけど…もしかしたら、無自覚かもしれないし」

優希は、哲哉と美紗子を交互に見て俯き考える
今、前世の記憶持っている事を話さなくても、いずれ話さなければならない
既に言動で不審を抱かせているのだから、この先はもっと不審を抱かせることが多いだろう
ならば、今のうちに話してしまう方がややこしくならずに済むかもしれない
そう考え優希は決意をして、顔を上げ2人を見る