「そんなこと、どうでもいいから、ロイ! この事態はなんなの?」

「反逆分子のテロのようです! いまから急発進します! お嬢さま、お気をつけて!」


SPの長谷川が答えた。本田は、運転に夢中のようだった。


車が、キュルキュルと音を立てて、グオン! と猛発進する。
そのとき、また、ドカン! と横からの衝撃を感じた。


「ぎゃーー!!」

「パイナップル(手榴弾)を投げてるんですね。それにしても当たらないな。へたくそめ!」


ロイは、カチャッと銃を取り出した。
でかい。マグナムだ。


「お嬢さま、ふせて!」


ロイは、あたしの頭を奥に押しやったかと思うと、ガシャッと車のドアを開けた。
風がごうっと入ってくる。すごい風圧だ。


「へたくそに免じて、タイヤをやる。どうせ、反逆分子といっても、下っ端だろう」


ロイは、ドン! と一発マグナムを撃った。
普通の人間なら、この体制だと、自身の身体が、反動で後ろへぶっ飛んでいるだろう。