「でも、杏奈…。これがいちばん、手っ取り早くて、安全なんだよ」

「駄目ったら、駄目ーー!!」


あたしは、顔をくしゃくしゃにしていたと思う。
なんでだろう?
ロイが、嘘でも、ほかの女の人に、気のある素振りを見せるなんて、いやだ、いやだーー。


「わがままだなあ……。杏奈お嬢さまは」


ロイは、ため息をついて笑った。


「それじゃあ、作戦変更だ。しかし、どうしてそんなことが嫌なのか、私にはちっともわからないな」