「ううん。あたし、ロイに聞きたいことがあって」

「なんだい?」

「今日、爆弾テロにあう直前に話していたことの続き。ロイ、ロイのマスターは結婚してるって言ったよね?」

「ああ。その話だけど」


ロイの表情が、少しくもった。


「彼は20歳で結婚した…が、じつは、21歳で奥さんを亡くしてしまったんだ」

「えぇ?! 病気か何かなの?」

「反逆分子の闘争に巻き込まれたんだよ。マスターは、とても嘆き悲しんだ。自分が、最愛の人を守れなかったことに」

「……そんなことが…」

「それで、マスターは私をつくったんだ。私の中には、マスターの怒りと闘争心が込められている。彼の、最愛の人を守りたいという強い気持ちが、私を突き動かすんだ」

「そうだったの……」


あたしは、ロイに悪いことを聞いちゃったかなと思った。
けれど、それは、聞いておかなければならないことのようにも、感じた。