「いいのかなあ……。こんなので、本田さんが怒らなきゃいいけど」

「本田が怖いの? あの人、今までの時間、何してたっていうのよ?」

「首相官邸でゲームをしていたね」

「ほら、そんなところでしょ。あの人に、とやかく言われる筋合いはないのー!」


あたしは、無理やり意見を通した。


そんな話をしているうちに、校門にたどり着き、あたしたちは、本田が運転席で待つ高級車に乗った。


「ねえ、本田。最近、新しいサバイバルゲームが出てるんだって。あたし、それ見たいな」

「えっ。お嬢さま。ゲームソフト店にお寄りになりますか」

「べつにー」

「な・なんですか。では、官邸に直行でよろしいのですか」

「うん」


ロイが、こっそり、あたしを肘でこづいた。


「からかっちゃいけないよ。あの人は、ほんとうに真面目な人なんだから」

「はぁい」


シールドを張られた車の窓から見える景色は、気のせいか、いつもと同じようで少し違って見えた。


苦痛だった、SPを従えての外出が、これから、彩りのある生き生きとした楽しいものになっていくかもしれない。


あたしはなんだか、妙にウキウキした気分を抑えられなかった。