数秒、先程までの柔らかい視線とは違い。

見定めるかのようなどこか鋭い視線に見つめられ、今すぐにでも逸らしてしまいたい衝動に駆られた。



が、逸らしちゃいけないということは私にでも分かる。


見定るかのよう、じゃない。私は今見定められているのだから。



―――――当然だ。


いくら春海が次期社長ではなくなったとしても、息子の相手がろくでもないただの小娘なら許すわけにはいかない筈だ。





「(………私は、)」


誰よりも春海が好きだと言える。



春海がいないときっとダメになるとさえ思う。離れるなんて出来ない。


だから、認めて貰わなきゃいけない。大事な人の両親に認めて貰わなきゃ、私は心から春海を愛せない。




真っ直ぐ、逸らすことなくお父様を見つめ返すと。少し驚いたように、でも嬉しそうに見開かれたそれは。

一瞬で柔らかく弧を描いて見せた。